GLP-1で13kg痩せた私が、ジム経営者としてあえて言うこと
最初に立場をはっきりさせておきます。私はパーソナルジムのフランチャイズに関わり、自分でも加盟店を持っている人間です。だから「薬じゃなくてジムに来てください」と言いたいだろう、と思われるかもしれません。
でも私自身、GLP-1で13kg痩せた経験があります。その上で、良かったことも、人には言いにくいことも、全部書きます。
※この記事は薬の効果や安全性を説明するものではありません。GLP-1は医師の処方と指示のもとで使うものです。体験はあくまで「私の場合」で、感じ方には個人差があります。気になる症状があれば処方医に相談してください。
5年前、85kgから72kgまで落ちた
使ったのは5年ほど前。今のように誰もが名前を知っている薬が出る前の、リラグルチド(ビクトーザ・サクセンダ)の時代です。
体重は85kgから72kgまで、13kg落ちました。数字だけ見れば大成功です。実際、短期間でこれだけ落ちた経験はそれまでありませんでした。
「食欲が落ちる」の本当の意味
よく「食欲がなくなる薬」と説明されますが、私の実感は少し違いました。
食欲が消えるというより、食べると気持ち悪くなる。
お腹は空く。でも食べ始めると、途中から吐き気に近い不快感が出て、食べ続けられなくなる。結果として食べる量が減る。これが私の体で起きていたことです。
つまり「食べたい気持ちが消えて楽になる」のではなく、「食べる行為が嫌になる」。この違いは、続けるうえでかなり大きいと思います。
痩せたのに、仕事の活力がなくなった
一番言っておきたいのはここです。
使っている間、気分が落ち着きませんでした。はっきり気分が沈む日が増えて、仕事のやる気が出ない。当時の私は営業の仕事で人と会い続ける毎日だったので、活力が落ちるのは致命的でした。
体重は落ちているのに、体が軽くなった実感より、気持ちが重い実感のほうが強い。これは痩せる前には想像していなかったことです。
これが薬のせいなのか、食べる量が減って体のエネルギーが足りなかったせいなのか、私には分かりません。ただ、同じ時期に同じことを感じた人がいるなら、一人ではないと知っておいてほしいと思って書いています。
筋肉はつかなかった
当時も一応、筋トレはしていました。でも筋肉がついた実感はほぼありません。
今なら理由が分かります。筋肉を作るには食べる必要がある。特にタンパク質が要る。でも「食べると気持ち悪い」状態で、肉や魚をしっかり食べ続けるのは無理でした。トレーニングだけしても、材料がなければ体は作れません。
ジムの現場で今、薬を使いながら通ってくる方を見ていて思うのは、ここが一番の分かれ目だということです。痩せた後に「引き締まった体」になる人と「ただ細くなった体」になる人の差は、使っている間に筋肉の材料を入れられたかどうかで決まります。
今は勧めない。ただし、こういう人には意味がある
正直に言うと、今の私は積極的には勧めません。理由は上に書いた通り、痩せた代わりに失ったものが思ったより大きかったからです。
ただ、全否定もしません。短期間で体重を落とすこと自体が目的なら、効果は本物です。たとえば、体重が重すぎて運動そのものが膝や腰に負担になる人が、まず動ける体重まで落とす、という使い方は理にかなっていると思います。
その場合でも、医師と相談したうえで、「薬を使っている間に体をどう守るか」「やめた後どう維持するか」を最初から決めておく。これがないと、落とした体重は戻ります。
今、一番後悔していること
ジム経営者が言うと都合よく聞こえるのは分かっています。それでも書きます。
あのとき薬にかけたお金を、パーソナルジムに使っておけばよかった。
薬にかけた費用は、月に数万円が数か月分。同じ金額があれば、パーソナルジムの2か月コースは十分に通えました。
薬で落とした13kgは、気分の落ち込みと、筋肉がつかない体と、やめた後の不安とセットでした。もしあの時、同じお金で食事と運動の「続け方」を身につけていたら、13kgは落ちなかったかもしれない。でも、落とした分を自分の力で維持できる体と習慣は残ったはずです。
当時の私はジム業界の人間ではなかったので、これは営業トークではなく、ただの後悔です。
薬で痩せた人に、ジム経営者として伝えたいこと
薬で痩せた、または今使っている方に向けて、これだけは言いたいことがあります。
痩せた体は、ゴールではなく材料です。
脂肪と一緒に筋肉も減っている可能性があること。食べられない時期は、量より「何を食べるか」で筋肉の材料を確保すること。やめた後の最初の3か月が、戻るか維持できるかの勝負になること。
この続きは、シリーズとして分けて書いていきます。
- GLP-1をやめた後にリバウンドする人・しない人の違い
- GLP-1で落ちるのは脂肪だけじゃない。筋肉を守る食事と運動(準備中)
- 食欲が消えた人のタンパク質の取り方(プロテインの選び方)
私は「薬か運動か」の二択だとは思っていません。薬を使うなら使うで、その後の体づくりまで含めて設計する。それを手伝うのがジムの仕事だと思っています。
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